DQの部屋

「これは…すごいな。」 「ええ、まだ耳が痛いですよ。」  煙がはれたその先には壁はすでになく、奥へと続く階段があった。

6.扉の向こうへ

 あれから二日後、オルソス一行はレーベ東にある祠に来ていた。 「ここで間違いはないのかい?」 「エーっと王様に書いてもらった地図(驚くべきことに王直筆)を見てもここ  に間違いなさそうですよ。それに、あそこ。隼と鯨の絵がありますし。」 「どこかしら?」 「あそこですよ、ほら少し出っ張った部分があるでしょう?」  ヨキの指す先を見ると、上のほうに小さな出っ張りがあった。  そこには小さいが確かにアリアハン王家の家紋である鯨とロマリア王家の 家紋である隼が描かれていた。、 「本当ね。ここで間違いないなさそうね。」 「となるといよいよこいつの出番だな。」  いいながらヨキは懐から魔法の玉を取り出した。 「まったく物騒だったな。」 「ええ本当ね。」  そういう二人の顔には少しどころでない安堵の表情がうかがえた。  その理由は二日前のある言葉、つまり魔法の玉を手に入れた時のことなの だが、あの老人は、 「魔法にしか反応しないようにしておる。」  とこう言った。  裏を返せば魔法には反応してしまうのだ。  しかもご丁寧にも玉の表面に、 「近くで魔法を使うと暴発するので気をつけるように」  と書かれてあった。  二人ともパーティーの中で魔法を主に使う役割だけに気を使っていたのだ った。  例えば、ホイミ(回復呪文)を使おうとして魔法の玉が反応しかけただとか、 メラ(火炎呪文)を使おうとして魔法の玉が反応しかけただとか。  スノウは何もできないのが逆に苦痛(夜の見張りはとられた)だったし、ヨ キの方はサリナスとともに戦っていただけあって幾分かましのように思えた が、その理由によって彼は余計に気を使っていた。  二日前オルソスは何を思ったかなぜか、 「私は夜の見張りをするからヨキ、サリナス昼の戦闘は頼んだよ。」  と言ってこの二日間まったく戦っていないどころか剣すら抜いていない。  確かにレーべまでの道のり、塔での戦いはサリナス、オルソスの二人だけ で戦っていたのでここらで実力を確かめるというのならわかる。  魔法が使えない以上スノウの実力を見ることはできない。  なら残りは自分しかいない。  それに、槍が使えると言ったのは自分だから。  だがそれとも違ったようで、あの日から半径4M以内にオルソスが近づい てくることはなかった。  ヨキはそれが気になって気になって仕方なかった。  しかしそれも今日、終わる。 「中に何があるかわかりません。油断せずに行きましょう。」  オルソスの言葉を受けて3人は祠へと入った。                *  *  祠の中は広い空間になっておりひとつの台座と、壁があった。  おそらくあの台座に玉をセットするのだろう。 「あそこに置くのかい?」 「えっと、なになに。『台座に置いた後なるべく離れてから、メラなどで点  火せよ。別にヒャド(氷雪呪文)でもよいがそこは気分の問題。なお爆発の  威力は魔力に比例するのであまり大きな魔法は使わないように』っと。あ  の台座で間違いないみたいですね。」 「なら点火は私がするわ。」 「それじゃ置いてっと、さあ離れましょうか。」  ヨキが置いたのを見た後、3人は祠の入り口まで下がった。 「みんな退避したかしら?」  スノウは周りを見渡しながら言った。 「え〜と。」 「みんな退避しています。大丈夫ですよ。」 「どわぁあ!!」  ヨキは突然、真後ろからの言葉があったことにおどろいた 「オル、おま、いつからそこに。」 「いつからも何も最初から彼は祠に入ってきていなかったぞ、ヨキ。」 「あらそうなの?」 「は?」  そんなヨキの疑問に答えたのはサリナスだった。 「ああ、私はてっきり殿でもするのかと思って黙っていたんだが、入り口に  ずっといたようだな。」  そう、サリナスの言った通り、オルソスは入り口に立ったままだった。 「最初にもらったときに説明文は読んでいたから。」 「離れなければならないのを知っていたのかよ。」 「うん。」 「早く言えよ。」 「スノウ、点火」 「わかったわ。」 「無視!無視か!」  ヨキはまたも無視された。 「ヒャド。」  ヨキがオルソスに何か言っている間にスノウはヒャドを魔法の玉へとぶつ けていた。  と次の瞬間魔法の玉が爆発した。              *  *  同時刻アリアハン 「どこが爆発した?」 「何だなんだぁ!?」  新兵達が謎の轟音を聞いて慌てふためいていた。 「フム混乱しておるのぉ。ふぉっふぉっふぉっふぉ。」 「陛下、分かって笑っていらっしゃいますな?」 「うむ。」 「うむ、ではありません!なぜ新兵にだけ説明が伝わってないのですか!」 「そっちの方がおもしろうかと思って。」 「おもしろうかと思ってって何を考えて、、、いや楽しんでらっしゃるだけ  ですな、はあ。」 「よいではないか。」 「ええ、なぜか民にはまったく動揺が走っておりませんし。はぁぁ。」 「そんなにため息をつくでないぞ。幸せが逃げるというではないか。」 「誰のせいですか!」  王が混乱している新兵を見、大臣をからかって楽しんでいた。              *  * 「ってて。」 「これはすごいな。」 「まだ耳が痛いですよ。」  煙のはれた先には壁はすでになく、奥へと続く通路があった。 「終わった?」 「だからなぜお前は外に出ているんだ。」 「さあ行きましょう。道は開けました。」 「ああ。」 「ええ。」  ヨキの疑問に答えることなく、オルソスは奥へと進んでいった。  それにサリナス、スノウの二人もついていく。 「何で俺無視?」  その声にも答えが返ってこなかった。  仕方なくヨキも3人の後を追った。              *  * 「しかしずいぶん長い通路ですね。」  歩き始めて30分ほどたったころふとヨキはそうつぶやいた。  さっきから曲がり角ひとつもなくあるのは瓦礫だけだった。  これだけ長い通路はなかなかない。さらに言えば少し、ほんの少しだが下 っている気がする。  気になるのはもうひとつある。 「この瓦礫、妙に新しいっすね。」 「ああそうだな、それに周りの壁もえぐったかのようにでこぼこしているな。  それに埃ひとつないな。」  二人は改めて、あの魔法の玉の威力に戦慄した。 「ずいぶんぶ厚かったんだな。」 「そうみたいですね。」 「となると壁というよりはブロックといった方がいいのかな?」 「それとやっぱ下ってるみたいっすね、この通路。」 「理由はあれだろう。」 「あれですよねえ。」 「二人ともそろそろくるけど?」  オルソスは後ろで話している二人に言った。  あれに近づいたためだ。 「ああ大丈夫だぜ……。何あの数?」  ヨキはあいた口がふさがらないといった風だった。 「ふう、少し面倒な数だな。」 「まったくね。」  サリナスとスノウは呆れたといった風だ。 「なあ、あれいったい何匹いる?」 「数えるのもいやになるわね。」  四人の前にあったのは、大量の魔物の群れだった。 「151匹。」  ふとオルソスがつぶやいた。 「は?」 「151匹いるっていった。」  今度は断言した。  数えたのか?あれを?  一瞬、三人の気持ちがひとつになった。 「何匹いようとやることは変わらない。」 「そのとおりだな。」 「うしろはたのみます、いきましょう。」 「ああ。」  そういってオルソス、サリナスの両名は敵陣のど真ん中に突進していった。 「さて、援護しましょうか。」  スノウはオルソスの言ったとおり、早速呪文を唱えようとする。 「いや、あの二人に援護いるんすかねぇ。」  としたがヨキの言葉でとめた。 「……それもそうね、あれぐらいならサリナス一人でも十分なくらいね。」 「オルも一人で倒せそうだしなあ。」 「私たちはこっちに来たものだけ相手しましょう。」 「そうですね。外にだけは出すわけにも行かないですしね。」  二人が話している間にも魔物の悲鳴がこの祠にこだまする。 「っときた、はっ。」 「グギャァァァ。」  あの二人の合間を縫ってきたおばけアリクイを槍で一突きし、 「ヒャド。」 「ギ?」  アルミラージを氷の中に閉じ込めた。 「しょせんはこの程度ですしね。」  そう数は多くても所詮ここは世界で最も魔物が弱い大陸、あの二人がやら れる道理はないのだ。              *  * 「はぁっ。」  戦場に再び幾筋もの閃光が走る。  次の瞬間4、5匹の魔物がその命を散らす。 「彼の戦いは剣の結界の様だな。っと、ふっ!」  2,3匹の魔物をまとめて斬り飛ばしながら、サリナスはつぶやいた。 「むん!」  さらにもう2匹斬り伏せる。 「やぁ。」  その間にもオルソスはどんどん切り伏せていく。  オルソス一人でもう3,40は斬っているのではないだろうか。 「まったく、たいしたスタミナだな。トゥ。」  言いながらまた一匹。 「いくら弱いといってもこれだけの数を相手にするのは結構大変なのだが。」 「あなたも同じくらいは倒していますよ。」 「あれ、聞こえていたかな。」 「ええ。」  そう、なんだかんだでサリナスも同じくらいは倒していた。  海の魔物に比べればアリとゾウくらいには違う。 「この程度、余裕がなくなるほどじゃないですし。」 「同感だね。だがその割にはここを突破されているが?」  話しながらも二人の手は敵を斬っている。 「人のことは言えないでしょう?」 「違いない。」 「後半分です。さっさとかたずけましょう。」 「ああ。そうしよう。」 「では行きます。」  言葉を合図に、二人は一気に斬りかかった (そうだ、あの日に比べればこの程度、数にも入らない。あの凄惨さに比べ ればこんな雑魚、何匹いたって怖くない。)              *  * 「これで終わりだよっと。」 「ギャァァ!」  最後の一匹を突き刺し、断末魔が響いた。  辺りには魔物だったものがそこらじゅうに転がっている。  燃えたり凍ってたり、見た目傷が一点にしかなかったりするが、大半は真 っ二つになっていた。その塊、二百は下らない。 「終わったな。」 「っていうかなんで俺が最後の一匹を倒してるんすかね?」 「少しぐらいはまわした方がよかっただろう?」  そんな事をのたまう彼は返り血をまったく浴びていなかった。  100以上の魔物のど真ん中にいて、である。 「ええまあ。ん〜、やっぱわざとだったんですね。」  それだけの強さがありながらヨキたちのほうに魔物が来たのは、意図的だ ったとしか思えない。 「さて行きましょう。」  そう促すリーダーの服にも当たり前のように返り血はついていない。 「へいへい。」  それからさらに一時間は歩いただろうか、一行の前にひとつの扉が姿をみせた。 「あれが旅の扉かな?オル。」 「うん、おそらくね。」 「んじゃ開けるぜ。」  扉の向こうはなんだかゆがんだ景色が見えた。 「間違いないようだね。」 「ええ、これは間違いなく旅の扉よ。」 「判るんですか?」 「これでも長いこと旅をしているからね。ほかのところの扉は何度か通った ことがある。」 「へぇ。」 「では。」 「ええ、これは間違いなく旅の扉よ。」  その間にも景色はグニャグニャうごめいていた。 「行きますか?」 「ああ。」 「ええ。」 「おう。」  オルソスの言葉に全員がうなづき扉へと飛び込んでいった。

2008年06月8日 2008年10月13日改定 アリアハン6.扉の向こうへ あとがき  ふい〜、やっと書き終わった。  イベントが何もないと書くの難しいことを知りました。反省。  いや、何も感動しなかったわけじゃないですよ?ふわりが初めて通ったと きなんかは何度も意味もなく往復してしまったですから。  グニャっと曲がったかと思うと別の場所に!  じゃあもどたらどうなる。  おおっ、元の場所に帰った。…話が脱線してしまいました。  六話目にして始めて戦闘シーンが出てきましたがあっさり終わってしまい、 なんだかなぁと行った感じです。  エー今回を持ちましてアリアハン編は終了となります。次回からはついに 大陸の話となります。  今回アリアハン編終了ということで、特別にゲストを呼んでいます。 オルソス(以下オ):こんにちは、オルソスです。いつも読んで頂き有難うご ざいます。 ヨキ(以下ヨ):こんちは、ヨキで サリナス(以下サ):こんにちは、このような作者にここまで付き合ってくれ て有難う。 ヨ:いやあの スノウ(以下ス):というかこんなに呼ぶ必要あるの?ふわりさん? 作:ありますとも。皆さんにフリートークしてもらおうかと。 サ:ふむ、つまりここで作者に文句言えと? 作:へ? ス:早く更新なさい、いったいいつまで待たせるの? 作:いやあのですねこれには深〜い訳が オ:あるわけがないです。作者は暇なんだし、ゲームはしてるし。大体二年 も普通ほおっておきませんよ。 サ:まったくだな、他のサイト様を見習ったほうがいい。 ヨ:あの〜 ス:それに私たちを出したのだってどうせあとがきのネタにでも困ってたの でしょう。 作:うっ オ:僕のセリフが妙に少ない気がするんですけど。主役なのに 作:それはあなたの性格だから仕方ないですね。 ス:単に作者に力がないだけじゃないかしら、私もほとんど空気のような存 在ですし 作:うぐ オ:大体サリナスとヨキしかしゃべってないしなぁ。 作:ヨキが多くなるのは仕方ないじゃないねえ、ヨキ。あれヨキ? ヨ:うう〜 オ:なんか泣いてる サ:というよりは拗ねているな 作:じゃあ放っておこう ヨ:放って置くな 作:次回からまた新しいキャラが増えていきます。 ス:そういえば初めてね、私達だけで進んだ話 作:キャラ考える方が得意ですから オ:で肝心の話はなかなか進まないと 作:それは言わないで ヨ:何でみんな俺をおくんだよ オ:だってヨキだし 作:所詮ヨキだし サ:それが君だろう? ス:あきらめなさい ヨ:ぐわぁぁぁぁ 作:落ちがついたところで、また次回も オ:次回もよろしくお願いします。最後に、読んで頂き有難うございました。 作:オル、作者にかぶせるとは
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